歩く

あるきながらうたおう

2016-01-01から1年間の記事一覧

物語をつなぐ。

アウシュヴィッツ=ビルケナウに行った。 たくさんの人々がここで死んだという話を聞かされる。服を脱がされて髪を剃られて身ぐるみをはがされたのだという話を聞かされる。人々の髪は生地を作るのに使われたのだという。人々の肌には番号が刺青されたのだと…

たぶん、歩いていくしかない

葉っぱみたいだ。ひらひらと舞う葉っぱみたいだ。 地図も持たず、携帯も持たず、ただ知らない土地を歩き続けているとき、 目的地なんてなくて、どこにいるかなんてどうでもいいとき、 自分はただ風に揺られて、運ばれるところに運ばれていく葉っぱみたいだと…

まだ、生きている

火を眺めていたり、海を眺めていたり、ぶたを眺めていたりするとゆうに2時間は過ぎる。 農園での作業を終えて、長靴を履いたまま、手は土だらけのまま、自転車にまたがる。小さなラジオのダイヤルを回して曲を探す。 木にかこまれた坂を両手放しで下って、牧…

からだ総動員の歓声

右手に豆ができた。たぶん小学校の鉄棒以来だ。 軟弱な手だ。日々働いているひとはすごい。 しかし、豆ができたというちっぽけな事実がなんだか嬉しかった。 手の細胞たちが傷ついて、勝手に豆を作って、勝手に癒えていく。そんな事実がなんだか嬉しい。 「…

遺言

7月22日に帰ります。 まだ先だけど、それまでは農家で働こう。 帰国日は母の誕生日。 母の影響はとても大きい。 誰が来ても笑顔で受け入れ、食事を出す。中学のときひよこを連れて帰って、これから飼って鶏にすると宣言しても、「かわいいね〜」と受け入れる…