歩く

あるきながらうたおう

森の中を指す道標

何が舌を喜ばすのだろう。何が耳を喜ばすのだろう。

美味しいものを食べた時、心地よい音を聴いた時、立ち向かう勇気のなかったものに立ち向かう気力が湧いてくる。

向かうべき場所を忘れてしまった時の心許なさ。忘れてしまっていることにすら気づいていない時の困惑。自信喪失。生の実感の喪失。どんどんと物事が迫ってきて、自分を撫でてとおりすぎていく。捕まえ方を、忘れてしまっている。

何が私を喜ばすのだろう。つまるところ、私は何をみたいのだろう。

生とはなんだろう。生まれて死んでいく。死ぬ時には何も残っていない。けれど残っている。行為の幽霊。世界という虚構。意識という虚構。

幸せということ。生そのもの。それは驚き。存在というもの。